着物をもっと気楽に着ませんか?普段着着物のススメ。

着物のこと

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まる

こんにちは、まるです。

 

ここ数年、夏の浴衣ブームのおかげで、以前より着物に興味がある人が増えてきたように思います。

 

少し前にアンティーク着物のブームがありましたから、古着の着物を扱うお店も街で普通に見かけるようになりました。

 

アンティーク着物は色合いも柄ゆきもカラフルでポップで本当に可愛らしいものが多いですよね。

 

大変そうだからとても無理だけど、本当は着物を着てみたい、という人は結構多いんじゃないかと思います。

日本人ですもの、DNAの中に着物への愛着が刷り込まれてるんじゃないかなあ?

 

だけど、「着物」っていうと

 

・人に着せてもらわなくては、自分で着られない

・帯が苦しい

・場所や季節によって着られる着物が決まってるって聞いたけど…

・家で洗濯できないけど、どこにクリーニングを頼んだらいいかわからないし、いくらかかるのかも見当がつかない

・着物を着るための小物がやたらいっぱいありそうで、何が必要なのかわからない

・おしとやかにしてないとダメでしょう?

 

などなど、わからないことだらけ。

 

洋服だったらみんな好きなように着てるのに、

着物になった途端、決まりごととか汚しちゃいけないとか

縛られることが多すぎて気楽に着られない。

 

と思われる方が大半ではないかと思います。

 

でもね。

 

Tシャツにジーンズと同じような「普段着」として着る着物なら、そんな決まりごとなんて気にしなくていいの!

 

洗濯だって、洗濯機でやっちゃっていいの!

 

呉服屋さんのディスプレイには決して出てくることはないけれど、

「普段着」用の着物はちゃんとあるんです。

 

私は、1年と少し前から着物をきはじめました。

着るのは、全て「普段着」用の着物です。

 

今はまだ、休日のちょっとしたお出かけの時に来たり、友人との食事、職場の飲み会などで着る程度ですが、近い将来、日常着の一つとして着物を位置づけたいと思っています。

 

私は好きで着物を着ています。

 

めんどくさそうに思えた着付けも、窮屈で倒れそう、と思った帯の苦しさも数回自分で着てみればなんてことはありませんでした。

「着物好きだけど、着るとなると大変そうで…」と思っている人がいたら、「そんなことないから、着物着ようよ!」と叫びたい気持ちでいっぱいです。

 

特別な理由がないと着物を着られない、なんて風潮は無くなっちゃえばいい!
「着たい」と思った時に気楽に着物が着られるようになって欲しいし、お出かけの時に何を着ていくか迷う候補の中に、おしゃれなワンピースやスカートと一緒に着物が入っているようになればすごく楽しいと思うんですよ。

 

「着物着てみたいけど…」と思っている方の背中を押せればいいな。

 

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普段着に着る着物って、どんな着物?

普段着とよそいきの違いをごく簡単に説明します。

 

人間は社会的動物なので、自分以外の人々と余計な摩擦を起こさず気持ちよく過ごすために、いろんな決まり事を守って生きています。

 

その一つがTPO(Time,Place,Ocation)に応じた服装をすることです。

 

私たちは意識的にあるいは無意識的に、その場に応じた服装を選んでいます。

ホテルウエディングに招待されているのに、ランニングシャツと半パンで出席したら、どうなるでしょう。おそらく式の間中周りの非難の目に晒され続け、新郎あるいは新婦からは二度と連絡が来なくなるでしょう。

 

その決まり事を少々面倒だと思いつつ、その場に応じた服装をすることは、特別感があって心が浮き立つような気がするものです。

 

洋服の場合、TPOによる使い分けの判断は形によるところが大きいと思います。

大変ざっくりとした分け方で恐縮ですが、改まった場所ならスーツ。華やかな場所ならワンピース。カジュアルな場所ならセーターやジーンズ。と言った具合です。素材の要素ももちろんあります。

 

着物の場合はどうでしょうか。

 

着物は基本的に全て同じ形をしています。

振袖のように袖の丈(長さ)が長いものもありますが、それ以外の形は同じ。

細かいことを言えば、えりの形も広衿・バチ衿という違いもあるのですが、それでも洋服のように、スーツやワンピース、パンツ、スカート、ブラウスなどなどのバリエーションがあるわけではありません。

 

着物の場合、結婚式であろうと、卒業式であろうと、お茶席であろうと、花火大会であろうと着ている着物の形は同じです。

(未婚の女性の場合は、格の高い着物は振袖になるので少々話が複雑になりますが、今回はざっくりと説明したいので、ここでは袖の丈のことはちょっと脇に置いておきましょう。)

 

では、何をもって「普段着とよそいき」の区別をしているのでしょうか。

 

 

それは「着物の素材」です。

 

着物の素材には、ざっくりと「絹・麻・ウール・綿・ポリエステル」とそれぞれの素材の混紡(綿麻、とか化繊混のウールなど)があります。

この中で、結婚式・卒業式など「式」がつく改まった場所、ちょっと気のはる方との食事など、いわゆる「よそいき」を着なければならない場所で着られる着物の素材は「絹」一択です。それ以外の素材は、「全て普段着」と思って間違いありません。

 

実は「絹」の中でも「紬(つむぎ)」と呼ばれる素材は、「式」には着られません。「式」で着られる着物のことを「格式が高い(または格が高い)」と表現したりしますが、格が高い絹の着物はてろんとした落ち感があって、ツヤツヤしていたりシボが立っていたり、なんとも肌触りの良い生地を使っています。ちりめんとか綸子などと言われる生地ですね。

 

この「格」というのが曲者で、ここにこだわりだすと何もかも気になって泥沼にはまってしまいます。日本人を着物から遠ざけた原因の一つが、これだと思います。ただし、安心してください。「格」を考えなくてはならないのはよそいきの着物のみ。今回は「普段着着物のススメ」ですから、格の高い着物・よそいき着物には深入りしないことにします。

 

普段着着物の条件

 

さて、よそいきに着る着物は「絹」素材のもののみ。それ以外の素材は全て「普段着」と言いました。でも結婚の時に母が持たせてくれた着物や街の呉服屋さんで飾ってある着物はよそいき着物ばかりです。そもそも、普段着着物ってなんなの?

 

私が考える普段着着物の条件はズバリ「自分で手入れができること」です。

 

着物を着るのは好きだけど、手入れの仕方がわからない。呉服屋さんの敷居は高いし、絹の着物のクリーニングなんて一体いくらかかるんだろう。一着手入れするのにウン千円もかけるなんて、無理〜!

 

これも着物を遠ざける原因の一つですね。

 

ガシガシ着物を着て出かけて行きたいんだから、他の衣服と同じように洗濯できなければ困ります。場合によっては専門家に頼む必要が出てくるかもしれないけれど、基本は自分で手入れができることが前提です。

 

これから紹介する普段着用の着物は、どれも家庭で洗濯できる素材です。

 

 

普段着着物の素材/綿

 

多くの方にとって、絹の着物より身近な着物だと思います。

綿素材の着物。ズバリ浴衣です。

最近はちょっとした浴衣ブームになっていて、時期になるとたくさんの浴衣が店頭に並びますね。

 

浴衣に代表される、綿素材の着物は、日本人が一番よく着ていたものなんですよ。

 

綿素材、木綿の着物は昔から日常着として親しまれてきた衣服です。時代劇などで農民が着ている野良着は木綿ですし、町人たちが着ているのも木綿の着物でした。

木綿は繊維が強く洗濯にも耐えるので、日常着として最適な素材なのです。洋服だって、綿素材のものを日常着にしていますよね。

木綿の着物は、家庭の洗濯機で洗うことができます。洋服と同じような扱いをすることが可能なので、普段着着物として最適な素材だと言えると思います。

 

でも、浴衣以外の木綿の着物なんて、あまり見かけませんね。

それは、綿の反物を生産しているメーカーさんがとても少なくなっているからです。

三重県の伊勢木綿、新潟県の片貝木綿、静岡県の遠州木綿、愛知県の三河木綿などなど、各地方で、心意気のある織物メーカーさんが木綿の反物を生産してくださっていますが、普段に着物を着る人が激減していることもあり、その数は各地方でほんの1、2件のようです。このままだと、綿の反物の生産がなくなってしまうかもしれません。

 

今安価に売り出されている浴衣のほとんどは大量生産された洋服地を使って作られたものです。カラフルで華やかでそれもとても素敵ですが、着物のために織られた昔ながらの縞柄もとても素敵なものです。

 

綿素材の着物は自分で生地を選び、自分サイズに仕立ててもらっても2万円弱くらいから購入することができます。思ったよりずっと安いでしょ?たくさんの人に綿の着物、着てもらいたいなあ。浴衣の次に着る着物として、最適だと思います。

 

ネット上では思っているよりたくさんのお店が木綿の着物を販売しています。ぜひ、のぞいてみてください!

 

 

ふだんきものハイムラヤ

 

こちらは愛知県の実店舗もある綿の反物を豊富に扱ってらっしゃる呉服屋さん。

あづまやきものひろば

 

普段着着物の素材/ウール

 

ウール?そう、毛です。「ウールのアンサンブル」なんて、おばあちゃんから聞いたことはありませんか。昭和中期にブームがありました。羽織と着物のセットで作られたものが「アンサンブル」です。

ウールですから、とても暖かく、真冬に着る着物です。ただし、毛100%のセーターと同様、ウールは虫食いされやすいという弱点があり、運よく押入れからおばあちゃんのウールの着物が出てきたとしても、虫食いがある可能性大。

 

ただ、ウールは生地の柄が多種多様で着物としてとても楽しめるものが多いです。しかも暖かい。冬に着物を着て出かけるなら、一枚は持っておきたい素材です。

 

運よく、状態のいいウールの着物が残っていれば(しかもサイズが合えば)大変ラッキーですが、もしなかったとしても、ご安心ください。少ないながらもウールの着物を扱っているお店はあります。また、洋服地のウールで着物を仕立てることも可能です。

 

 

 

洗濯、もちろん家庭でできます。セーターと同じような扱いで手洗いすれば大丈夫です。

 

普段着着物の素材/麻

 

麻は夏限定の素材です。麻は夏の素材としてとても優秀で、肌触りがひんやりしているし、汗をかいてもすぐ乾くのでとても涼しく感じるそうです。むしろ何も着ないでいるより、麻を着ている方が涼しいとか。私はまだ麻の着物を持っていないので、伝聞でしかありませんが、いつかは着てみたいと思っています。

 

麻素材の中にはびっくりするほど高価なものもあります。「上布」と名のつく麻の生地は、単なる布という範疇を超えて美術品、工芸品という扱いになりますから、そのお値段たるや、もう。しかし、どれほど高価であろうと、麻の着物はあくまで普段着の扱いなのです。普段着にしかならないけれど、昔から綿々と続く職人の手仕事の価値を認めてその金額を出せる人って、すごくかっこいいと思ってしまいます。

もちろん、そんな高級なものばかりではなく機械織りでお手頃の価格のものもありますよ。

 

 

 

もちろん、洗濯OK.洗濯機で洗っても大丈夫です。しかも乾きが早いです!

 

普段着着物の素材/絹(紬)

 

ちょっと待って。絹は普段着着物ではないと言っていたのに。

はい、そうなんですがこれだけは紹介したい。

 

今回のよそいきと普段着の分け方はわかりやすくするために、もう、ムッチャクチャざっくりとしたものです。本当は絹のてろんとした落ち感のある生地の着物でも、小紋という柄ゆきのものは「おしゃれ普段着」というくくりになっています。が、あえてそこには触れていません。それやりだすと大変だから。また、他のサイトで絹の着物の使い分けなんかは、いっぱい説明されてるから。

 

ただし、この紬という絹織物はちょっと違います。

 

紬とは、綺麗な絹糸を紡ぐことができなかったクズ繭や短く切れてしまった絹糸を紡ぎ合わせたものを使って織られた織物のことです。素材としては絹に間違いないのですが、生地のところどころにふしがあったり、糸の太さの違うところがあったりして、いわゆる格の高い着物とは違うものです。

これらの紬の着物はざっくりとした風合いでてろてろした落ち感がないので着崩れしにくいうえに、絹の持つ暖かさや肌触りもあり、とても着やすい着物です。紬の着物を着たら、手放せなくなると思います。

 

とはいえ、やはり絹の着物です。こちらも産地によって大島紬、結城紬など伝統工芸品となっており、仕立てるとなると大変高価です。紬の着物を手に入れるとすると、リサイクル着物の店やオークションサイトで探す、というのが現実的になるかと思います。

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また、紬は家庭で洗濯することはできません。専門の業者にクリーニングを頼むのはシーズンに1回で十分だと思いますが、枚数があればあっただけ、手入れにお金がかかる、ということを頭に置いて、いくらお店で購入する値段が安くても大量に買い込むのは避けましょう。

 

普段着着物の素材/洗える着物

 

洗える着物、つまり化繊の着物のことです。

 

その名の通り、ご家庭で何も難しいことを考えずにガンガン洗える着物です。しかし、この素材は普段着用とは限りません。格の高い着物から普段着用まで幅広い種類があります。

しかも着物の柄が本当にたくさんあって、選ぶのが楽しいと思います。

 

ちょっとおめかししたいからちりめんの小紋の着物を着たいけど、汚すのが怖い。という方なら、洗える着物を使ってみるのもいいと思います。しかも既製品の安いものなら本当に数千円から購入することができます。

少し前は、化繊の着物はペラペラで安っぽくて良くない、という評価でしたが、最近は東レなどの繊維メーカーさんが新素材を開発して、大変高級感のある化繊の着物が出てきました。安っぽく見えるのは嫌だけど、洗濯は家でしたい、という方は検討されてはいかがでしょうか。多少値段は張りますが、絹となんら遜色ない風合いなのに、汚れを気にせず活動できて家で洗濯できる、というのは大変魅力だと思います。

 

 

 

 

着物を着るのに必要なもの

俄然、着物に興味が湧いてきたぞ!でも最低限何を揃えたらいいの?

 

以下に、自分が使っているものを書き出してみました。

1、着物

2、長襦袢(半襦袢)半襟をかけたもの

3、裾除け

4、足袋(足袋ソックス、5本指ソックス)

5、腰紐ベルト 1本

6、コーリンベルト 1本

7、伊達締め

8、帯(半幅帯、名古屋帯、作り帯などなど)

9、(お太鼓に結ぶなら、帯枕・帯揚げ)

10、帯板

11、帯締め(半幅帯の場合、要ったり要らなかったり)

 

これくらいです。

5、6は紐で十分です。あとお太鼓を結ぶなら2本程度余分に紐があるといいです。

 

どうでしょうか。多いですか。どうしても必要なのは着物と長襦袢と帯と紐数本、ですね。半幅帯を結ぶなら本当にこれだけで大丈夫です。

上の例では下着が裾除けしか書いていませんが、下着なんぞ外から見えないんですから、なんでもいいんです。私はユニクロのブラトップに寒ければヒートテックとスパッツを合わし、暑ければステテコを穿きます(汗取りとして)。

 

浴衣をきたことのある方なら、それに長襦袢が増えるだけ、と思っておけばいいと思います。

 

どこで、着物を手に入れる?

着物を手に入れる方法はいくつかあります。どこで手に入れるにしろ、大事なのは自分のサイズを知っておくことです。ここでいうサイズとは、洋服のSMLでも、ウエスト○センチ、ヒップ○センチ、でもありません。着物を仕立てるためのサイズのことです。

自分で測ることもできなくはないですが、より正確に測るためには和裁の知識を持った人や呉服店の人に測ってもらうのがいいと思います。

あるいは、成人式で着物を誂えたことのある方なら、どこかに寸法を書いたものが残っていませんか?時間が経って体型が少々変わっていようが、裄丈(腕の長さ)などは大きく変わりませんから、それを参考にするといいと思います。

 

参考:着物の寸法の測り方

 

呉服店

着物を購入するのに、一番に思いつくのが呉服店だと思います。商店街の中に1軒はあるのではないでしょうか?

呉服店は着物の総合案内所的なところがあり、着物の購入はもちろんのこと、手入れの相談にも乗ってもらえるし寸法直しなどもやってくれます。良心的な呉服店さんと仲良くできればこれほど心強いことはありません。また、何と言っても「自分のサイズ」に仕立ててもらうことができます。新しい着物を作るのなら、呉服店にお願いするのがいいでしょう。

 

ただし。

 

呉服店さんは夏の時期の浴衣以外は、基本的に「式のための着物」や「とても高価な着物」を売っているところだ、と思ってください。

ポッと手近な呉服店に入って、「普段着用の着物が欲しいです」と言ったらまず間違いなく伝統工芸品レベルのウン十万円もする大島紬や結城紬が出てきます。ここで書いたような木綿の着物やウールの着物が出てくることはありません。

 

呉服店を利用するなら、インターネット店舗を持っていてどんな品揃えなのかが下調べできるところが無難なように思います。あるいは完全にインターネットで購入するか。

 

普段着用の着物に特化して品揃えされている呉服店さんもあります。こちらは毎週土曜日の9時からUstream放送(youtubeでも放送)で普段着着物のことを熱く語っておられて、大変に勉強になります。youtube動画は300本以上あります。もし可能なら、こちらに一度訪問されたらいいと思います。たくさんの綿の反物が見られますよ!もちろん、インターネット販売もされています。

 

あづまやきものひろば

 

毎週土曜日放送の「あづまやきものてれびじょん」

 

 

リサイクル着物ショップ

一時、ちょっとしたアンティーク着物ブームがあって、その時にリサイクル着物の店がポンポン!とできたようです。

リサイクル着物は、サイズが合えば大変お得に着物が手に入れられますし、今はもう手に入らないような希少な着物が見つかる可能性もあるかもしれませんね。リサイクルショップで手に入るのは基本的に絹の着物だと思っておくといいと思います。できるなら羽織らせてもらうこと、それが無理ならちゃんと寸法を計らせてもらいましょう。状態のいい紬の着物が安価で見つかったら即買い!ですね。(ただし手入れにかかるお金のことも忘れずに)

 

 

ただし、リサイクルショップで出回っているのは、当然ですが昔の着物。全体的にサイズの小さいものが多いです。私のように身長の高い人にはなかなか合うものに出会うのは難しいと思っておきましょう。

 

でも着物が無理でも、帯なら大丈夫。着物一枚に帯三本、と言いますからね。掘り出し物を探して見てください。

 

ネットオークション

ヤフオク!でもたくさんのリサイクル着物が売りに出されています。個人出品もありますが、ほとんどは専門のリサイクル業者の出品のようです。商品の説明も詳しく記述してあるものが多いですが、実際に手にとって見られないのですから、慎重に見極めましょう。

着物の場合、「身丈(着物の長さ)」と「裄丈(腕の長さ)」をしっかり見ないといけません。前巾や後ろ巾も書いてあれば見ておきたいですが、着物の幅はある程度融通が利きますので、身丈や裄丈ほどの影響はないかと思います。

 

身丈(着物の長さ)は自分の身長プラスマイナス5センチくらいなら許容範囲です。

裄丈(腕の長さ)は、実際に測って見ないと正確なところがわかりません。自分の首の後ろのグリグリのところから肩を通って、斜め下に下ろした手首のグリグリのところまでを測ります。これが裄丈です。着物の裄丈が短いとちんちくりんになりますし、長すぎるのも野暮ったい。長襦袢の裄丈との兼ね合いもあります。あまりに寸法に合わない着物を着ていると、着ている間中気になって着物を楽しめないので、許容範囲を超える寸法ならスパッと諦める方がいいと思います。

 

長く着物を楽しんでいる人の中には寸法違いの着物も自分で直したり工夫したりする人もいて、それ自体を楽しんでおられるように見えます。やろうと思えばそんなこともできる、ということを知っておくといいと思います。

 

親族、知り合いから譲ってもらう

 

私は実家の押入れから、祖母の着物をたくさん持って帰ってきました。大正生まれの人ですが、珍しく大柄な人だったらしく工夫すれば私でも着られるものがたくさんありました(母の着物は小さいので私には無理でした)。50年以上前の着物を今着られるって素敵なことだと思いませんか?

 

周りに着物好きだった方はいませんか?もう着なくなった着物を譲ってもらうことはできませんか?

今はタンスにたくさんの着物を眠らせている人がまだたくさんいらっしゃる時代だと思います。タンスに眠っている着物たちを蘇らせることができたら、着物もきっと喜ぶと思います。

 

持って帰ってきた祖母の着物は、多くが(おそらく)ウールと紬の着物でした。どれも一度は袖を通して見て、これから先も着られそうと思える着物だけを少しずつクリーニングに出しています。

特に大島紬を見つけたので、これを優先的に呉服屋さんに持って行きました。お店の方も「良い大島ですね、もうこれは作られてない柄ゆきだと思いますよ」と言ってくださいました。(クリーニングはイベント中の特価で八千円ほど。それと別にパールトーン加工をしてもらいました。パールトーン加工がしてあるとその後のクリーニングは3240円で済むそうです。)

 

普段着着物の着付け

普段着着物の着付けは難しくない!

 

まず、着物の着付けは難しい、という先入観を捨てましょう。

 

自分で着物を着た経験のない人は、「なんか腰のところで着物のあまりをぐちゃぐちゃっとまとめて紐をいっぱい締めて、帯はあっちむかされたりこっちむかされたり、息がつまるほど締め上げられて何が何だかわからないうちに着せられてた」と思っているかもしれません。「そんなこと、自分ではできない」と。

それは、「式の着物」だから。特に成人式の着物なんて、帯結びにものすごく力も要りますしあれは自分で着るものではなく、人に着せてもらう着物だからです。

 

昔の人は毎日自分で着物を着ていました。当たり前です。私たちも毎日自分で洋服を着て行きますもんね。

 

今は、「着付け教室」なんてものがあるから「着物は教室で習わないと着られないもの」という偏見が植えつけられているんです。そんなわけないですよね。日常着なんだから、自然と着られるようになって当たり前です。

「着付け教室」で習うのは「式の着物」をいかに美しく着るか、と、人に着せてあげるか、の方法です。

 

普段着着物の着付けは簡単で、式の着物は難しい?

どういうことでしょうね。

 

一番の理由は、着物の生地の違いです。

 

「式の着物」はどれもてろてろした落ち感のある生地ですから、着付けしている最中に滑ってズレていってしまいます。だからある程度はギュッと締めることも必要ですし、「左手の肘の部分でここの重なりを抑えて…」とかいうテクニックが必要だったりするんです。

でも普段着着物の生地はどれであってもざっくりとしていて滑らないので、着付けが断然しやすいのです。腰紐さえしっかり締めておけば、あとは結構ゆるゆるでも大丈夫です。

 

二番目の理由は、帯の違いです。

 

「式の着物」は豪華な刺繍を施したような袋帯を結びます。豪華な分、大変重く扱いも大変です。

 

普段着の着物に締める帯は、名古屋帯か半幅帯。半幅帯って、浴衣に締める帯のことですよ。(種類はたくさんあります)

名古屋帯はお太鼓にしますから、帯枕や帯揚げが必要になりますが、半幅帯なら、リボンを結ぶような手軽さで結ぶことができますし、ずれるのが心配なら帯締めを締めればいいのです。

 

どうですか?「もしかしたら、思っているほど難しくないかも」と思いませんか。

 

普段着着物の着付けの実際

 

ほぼ毎日着物を着て、日常の家庭の仕事と自営のパン屋さんのお仕事をされているtontonのきよみさんが、毎日の着付けの様子をYOUTUBEにアップしている動画がありますので、貼っておきます。ものすごく参考になりますし、「これなら私でもできるかも!」と思うこと請け合いです。実際、私はきよみさんの動画で着物が着られるようになりました。

 


ふだん着物のtonton

↑tontonさんのHPです。参考になる情報いっぱいです。

 

着物でお出かけ

 

どうですか?ちょっと着物をきて出かけてみようかな、という気持ちになってきましたか?

 

では、普段着着物でどんなところにお出かけをしたらいいのか、考えてみましょう。

 

まず大前提として、オススメしている着物はあくまで普段着ですから、「式」と名のつくところや、お茶会、ちょっと改まった席などにきていくのはNGです。そうは言っても、明確にここはダメ、とわかるシチュエーションならいいけど、ビミョーだな〜と思う場合はどうするの?改まった席って、どの程度改まるの?とか色々疑問が出てくると思います。

 

では、考え方を変えてみましょう。こんな風に自分に聞いてみてください。

 

「あなたがそこに洋服で参加しようと思った時、ジーンズでも大丈夫な場所ですか?」

 

答えがYESなら、普段着着物で全く問題ありません。NOなら、普段着着物は着られません。格の高い着物を選ぶか、洋服にしましょう。答えに迷うようなら、私なら紬の着物を着ます。

 

今は、着物を着ている人自体が少ないですし、「着物」を着ているというだけで改まった雰囲気に取られることもありますから、そこまで気にする必要はないかもしれませんが、やはり服装とは社会の中で着るものですから、ある程度周りに合わせることも仕方ないのでは、と思います。

 

でも、ジーンズで出かけられるところはいっぱいありますから!むしろ、普段の生活の中でならジーンズで行けないところの方が少ないでしょう。

ルールがあるのってめんどくさい!なんて思わないでくださいね。着物の数が増えて、着物に慣れてきたら、そういったルールを守りながらおしゃれをすることが楽しくなってくると思いますよ。

 

何が何でも着物を着ることが大事なんではなくて、あくまで自分の服装のチョイスの中に着物を入れることが大事だと思います。

 

どんどんお出かけしよう!

さあ、思ったより普段着着物で出かけられるところはたくさんありますね!

 

手始めに、ご主人やご友人とお食事なんていかがですか?

気のせいかもしれませんが、着物を着ているとお店の方の対応がより丁寧になるような気がしますよ。

 

帯を締めていたって、大丈夫。自分で着付けてるんですから、苦しくない手加減で結べているはず。それに普段着着物なら帯はゆるゆるでも解けてきたりしません。

 

はじめは不安があるでしょうから、ほんの数時間の外出から始めましょう。

最初の1、2回は着崩れを気にしてドキドキするかもしれませんが、案外すぐに大丈夫だと感じると思いますよ。

 

慣れてきたら、一日中の外出も全然平気になります。私は着物歴半年で、友人との一泊旅行にオール着物で行くことができました。

 

外出から帰ってきても、もし平気ならそのまま着物を着ていたっていいんですよ。割烹着を着たりたすき掛けをしたら、家事をすることも普通にできます。汚しても平気。洗濯すればいいのです。

 

終わりに

 

いかがでしたか。「着物、着て見てもいいかも」と思ってもらえたでしょうか。

 

そう思ってくださったあなた、

どうぞ、気楽な気持ちで着物を着てみてください。

そして、「楽しいな」と思ったら、もう一度着てください。

その次は、ご友人を誘って見てください。

 

そうすれば、少しずつ着物を着る人が増えるかもしれません。

 

今は、一日中お出かけしていても着物を着ている人を見かけることは滅多にありません。(人自体少ない田舎のせいもありますが)

それを、一度のお出かけのたびに2、3人は着物の人を見かけるくらいの数にはしたい。そうすれば、着物を着てるってだけで珍しがられることもなくなるでしょうしね。

 

着物を着るということは、日本の伝統の技術を残すことでもあります。

 

普段着用の木綿や麻だけではなく、絹織物の織元もどんどん減っています。このままでは大事な日本の技術が廃れていってしまうでしょう。

 

ほんの数十年前まで、着物は日本人にとって身近なものでした。それが今は「式のための衣服」になってしまいました。もしかすると一生着物に袖を通すことのない人も出てくるかもしれません。日本人の民族衣装のはずなのに、それはあまりにも寂しいじゃないですか。

今は若い人たち中心に、浴衣がちょっとしたブームになっています。とても嬉しいことだと思います。

その中の一人でも、二人でも多くの人が着物自体に興味を持ってもらえたら、そのうち着物が洋服とともに日常生活に自然に溶け込んで行く時代がくるのも夢ではないのではないでしょうか。

 

頑張って着物を着よう、なんて思わなくていいんです。今日は着物着ようかな、と思った時に着ればいいのです。そうやって自然に着物に馴染んでいきましょう。私もそうします。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

 

 

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