太陽の塔の内部見学。大阪万博1970年の未来を垣間見る。

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太陽の塔の内部見学に行ってきたよ

 

こんにちは。まるです。

お盆前の今日、家族で大阪万博公園内にある、太陽の塔の内部見学に行ってきました。

職場の若い同僚が「すごく良かったから、ぜひ見てきてください!」と、いつになく熱く語ってくれたので、それなら、と思い立って出かけてきました。

いや〜、本当に素晴らしかったです。

美術作品って、それと出会うタイミングとか自分の状況とかで感じ方が変わってくるし、自分が良いと感じたからと言って万人が良いと感じるわけではないと思っているので、むやみに人に勧めたりしないのですが、これに関しては、全力でオススメします。

一度見て損はないと思います。

ぜひ大阪万博公園、太陽の塔にお出かけください!

 

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未来を見上げた時、こみあげるものがあった

まず、感想から。

 

なんども言いますが、素晴らしかったです。

 

岡本太郎作、生命の樹。

大阪万博は1970年に開催ですから約50年前のできごとですが、当時この内部展示を見た人々はどんなふうに思ったのでしょうか。

太陽の塔の内部はがらんどうになっており、その内部を貫くように「生命の樹」がそびえ立っています。

テーマは「生命の進化」。

原始の生物から人間の誕生までを螺旋状に表した作品です。

 

太陽の塔の内部の中心に足を踏み入れ、上を見上げた時、そのスケールに圧倒されました。

そして

「太陽の塔は、万博が終わってから約50年間、誰にも顧みられないこの樹を自分の中に宿し続けてたんだなあ」

と思うと、その母性のようなものを感じて思わず泣きそうになりました。

 

サン・テグジュペリの「星の王子様」に、こんな一節があります。

「砂漠が美しく見えるのは」と王子さまは言った。「それは、砂漠がどこかに井戸を隠しているからなんだ…」

(サン=テグジュペリ作 三野博司訳 論創社刊)

宝物が埋められている、という言い伝えのある古い屋敷が光り輝いて見えるのも、屋敷の奥深い中心部に「宝」という一つの秘密を隠しているから。

なぜかわからないけれどとても魅力的に感じる人は、人には見せないけれど心の奥に光を放つ秘密を隠しているのかもしれません。

同じように、

太陽の塔がずっと万博公園の中で存在感を示し続けてきたのは、体の中にこの「生命の樹」を隠していたからなんだ、と強く思いました。

内部見学をする前とした後で、太陽の塔の印象は大きく変わると思います。

がらんどうの太陽の塔。体に生命の樹を宿している太陽の塔。

そりゃ、違いますって。

個人的には、中心部に入る前に展示されている、岡本太郎のアイディアスケッチも大変興味深かったですね。

はじめの頃、まだぼんやりとしか構想がない状態の時のスケッチは、おそらく「命の力強さ」を表現したいと思ってるんだろうな、と感じられるものがあって(完全に個人的な憶測に過ぎませんが)、天才岡本太郎の思考を少しなぞれた気がして面白かったです。

 

見学は、「生命の樹」に沿って階段を登りながら行うのですが、最上部では「生命の樹」とはまた別のサプライズが待っています。これを詳しくいうとネタバレになるので言いません。

これを見たら、思わず「おお!」と声が出ると思います。

 

万博の頃に戻りてー!って思いました、私。

日本、すげー!50年前、すげー!って。

 

ハードル上げ過ぎちゃったかな?

サプライズがある、と言っちゃいましたが、それは忘れて生命の樹の見学に集中しましょう。その方が「おお!」となりますよ。(ほな、最初から言うな)

 

美術・芸術にほぼ興味のない無気力高校生と、将来は美術の道に進みたいと言っている中学生を連れて行きましたが、2人とも「来てよかった。大変面白かった。」と言っていました。

きっと、多くの方が「見てよかった」と言う感想を持たれるのではないでしょうか?

 

一度に入場できる人数をかなり絞って見学を行なっているので、土日に予約を取るのはなかなか難しいかもしれませんが、機会を作ってぜひ見学に行ってください!

 

太陽の塔内部見学、予約の方法

予約はオフィシャルサイトから

 

太陽の塔の内部展示の見学は、予約制となっています。

 

当日券の販売はありません。

 

必ず「太陽の塔」公式サイトから予約をしてください。

 

・予約は入館希望日の4ヶ月前から可能になります。

・一回の申し込みにつき、6名まで予約は可能です。

 

ただし、一度予約をすると、予約手続きをした日から1ヶ月間は次の予約申し込みができなくなります。(1月18日に予約手続きをしたら、次は2月17日まで予約できない)

日程や人数を変更する場合は、一度予約をキャンセルして新しく予約をし直さなければなりませんので、ご注意ください。

 

*予約をする際には、オフィシャルサイトで会員登録を済ましておく必要があります。

初めて予約をしようとすると、「新規登録する」と言うボタンが出てきますので、ここからあらかじめ会員登録しておく方がいいでしょう。

 

予約は、「○月○日の△時〜」と言うように、細かく時間帯を指定されます。

実際はその時間に会場に到着した人から順番に15人程度のグループでまとまって見学していくことになります。

 

どうしても土日でないとダメな人の予約の方法

キャンセルを狙え!

太陽の塔の内部見学は、非常に人気があり、4ヶ月先であっても土日はほぼ満席で予約が取れない状況になっています。

 

ですが、ここで諦めてはいけません!

スケジュールははっきりしないけど、とりあえず予約しておこうと言う人が多いようで、直前になるとキャンセルが結構でます。

前見たときは、全日予約不可だったのに、今日見たら何日か予約可の日が出てきた、と言うことがあります。

しかも

キャンセル → 誰かが予約、 別の日がキャンセル → 誰かが予約

を繰り返していますので、予約サイトを開くたびに予約できる日が刻々と変わって行きます。

 

キャンセルが出るのも、各時間帯のうち一つに1人分とか2人分とかのことが多いです。

 

ですので、のんびり構えていては運よく希望の日にキャンセルが出ても、他の人に取られてしまうことになりかねませんので、あらかじめ会員登録を済ましておき、ログインに時間をかけないようにして、予約に挑みましょう。

私はこの方法で見学日(夏休み、しかもお盆前)の予約4人分を2日前にとりました。(たまたまどこかに出かける予定の日に、しかも4人分のキャンセルが出たんです!)

ピンポイントで希望日の希望時間帯に予約を取るのは難しいでしょうが、いくつか候補日を考えておけば、予約が取れる可能性は広がると思います!

*なお、平日の予約は2ヶ月ほど先なら問題なく取れます。

無理せず、平日にお出かけされるのがいいかもしれませんね。

 

見学の流れ

予約時間の20分前から見学が可能になります。

予約時間が14:30からなら、14:10から中に入ることができます。

 

まずは万博記念公園に入園します。(なぜなら太陽の塔は万博記念公園内にあるのだから。)

入園料は大人250円、小・中学生70円。安い!

太陽の塔のほか、日本庭園や自然文化園の見学もできますよ。

 

太陽の塔の真正面からの写真撮影を楽しんだら、太陽の塔の大きさに圧倒されつつ、後ろ側にある内部入口に向かいます。入り口は坂を下りていった地下にあります。

 

受付では、予約の際に発行されたQRコードが必要になりますので、あらかじめそのページを表示させておくか、スクリーンショットを撮っておいたものを表示させておきましょう。

太陽の塔の入場料は、大人700円、小・中学生350円。これも安いと思ったよ。

塔の内部には、トイレがありませんのであらかじめトイレに行っておきましょう。見学自体は30分ほどで終わりますが、不測の事態が起こって見学途中で離脱、なんてことがないようにしましょうね。お子様連れの方は特に。

 

さあ、実際に入場しようとすると、確認のため「予約の際に入力した電話番号の下4桁を口頭で教えてください」と言われます。

自分の携帯番号は当然覚えていますが、急に「下4桁」と言われるととっさに出てこなくてちょっとだけ困りました。

 

内部に向かう通路には、岡本太郎のアイディアスケッチの展示があります。

数点ですが、とても興味深い展示でした。

 

地下展示のコーナーが集合場所。

存在感のある「地底の太陽」が出迎えてくれますが、実はこれ、本物は万博の閉会後行方不明になったので、レプリカなんだそう。

行方不明???こんなでかいものが、どこ行ったの???誰か闇夜に紛れて抱えて行ったのか????

とはてなマークが山ほど頭を渦巻きました。

 

地底の太陽を含め、周囲の展示は万博当時、テーマ館の地下展示「根源の世界」の一部を再現したものだそうです。

50年前の人たちにとっては衝撃的な作品だったことでしょう。「なんじゃ、こりゃあああ!!」ってね。

 

ここで見学者を15人ずつのグループに分け、順番に内部を見学していくことになります。

分刻みのスケジュールができているんでしょう、係員の方はかなりきっちり時間を計られていました。

 

内部は写真撮影禁止です。なのでお見せできる写真はありません。

これは幸い、写真なんかで見るより、実際を見てください!ホントに。

 

ここから先は詳しく書きません。ネタバレだから。

 

階段を登りつつ、要所要所で係員の方の説明が聞けます。

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ただ、ゆっくり時間をかけることができないので、「もう少しゆっくり見たいよ〜」と後ろ髪を引かれつつ見学しました。

一番上まで登ると、あとは万博当時の太陽の塔の制作風景、再公開に向けた準備の状況などを説明したパネル展示を見ながら階段で下りて見学終了。

 

途中の壁面に、岡本太郎の言葉

「芸術は呪術である」

という言葉が書かれていたのが印象的でした。

 

そもそも太陽の塔とは

太陽の塔は万博のテーマ館の一部だった

1970年に開催されたアジア初の万国博覧会、日本万国博覧会(大阪万博)。この万博を象徴するアイコンとして建設されたのが、「太陽の塔」です。

塔の高さは約70m、基底部の直径は約20m、腕の長さは約25m。

大きいですね。

近くに行くと、その大きさがよくわかります。

しかし、太陽の塔は単なる”巨大なオブジェ”ではありませんでした。

今はあまり知られていませんが、大阪万博のテーマである「人類の進歩と調和」を表現するテーマ館としての役割がありました。つまり、一つの”パビリオン”として建築された作品だったのです。

太陽の塔を生み出したのは、前衛芸術家 岡本太郎。

岡本太郎はテーマ館のプロデュースを任されましたが、そのテーマ展示の「構成要素」として太陽の塔の制作を決めました。

もともと万博を象徴するモニュメントの制作を依頼されたわけではなかったのですね。

丹下健三が設計した、「お祭り広場」の上に張り出す形の「大屋根」の一部をくり抜いて、そこに太陽の塔がそびえ立つ、という構想も後から決まったことでした。

 

太陽の塔と3つの顔

太陽の塔はテーマ館の一部としての役割を持っていましたので、内部にはダイナミックな展示空間を有していました。

太陽の塔には一番上に位置する「黄金の顔」、お腹の部分にある「太陽の顔」、背面にある「黒い太陽」の三つの顔がよく知られています。

「太陽の顔」は現在を、頭部の「黄金の顔」は未来を、背面の「黒い太陽」は過去を表しています。これは大阪万博テーマ館が「過去」→「未来」→「現在」を巡る構成になっていたことと、作者の岡本太郎が「人間の身体、精神のうちには、いつでも人類の過去、現在、未来が一体になって輪廻している」と考えていたからです。

太陽の塔、4つ目の顔とその運命

実は太陽の塔にはもう一つの顔がありました。

大阪万博テーマ館の地下展示、「過去:根源の世界」に展示されていた「地底の太陽」です。

これは地下展示のために岡本太郎が制作した巨大な仮面でした。

しかし、万博閉幕後のゴタゴタの中で行方不明となり、今回の内部展示では復元された地底の太陽を見ることができます。

 

なぜあんな大きなものが行方不明になるのでしょう?

どうやら万博閉幕後、美術館展示のため解体され、荷造りされた状態で兵庫県に送られましたが、その後計画がうやむやになり、放置されてしまった、のちに所在を確認した時にはもうなくなっていた、ということのようです。

最後に「地底の太陽」が置かれていたと確認されたのは、倉庫でもなんでもなく、資材置き場のようなところで、野ざらし状態だった、という話もあります。

解体され、荷造りされた状態では重要な美術作品だという感覚がなかったのかもしれませんね…

とはいえ、「地底の太陽」は現在も捜索が続いていて、所在の情報提供などが呼びかけられています。もしかするといつかオリジナルの「地底の太陽」を見られる日がくるかもしれません。

 

2018年、常設内部展示に至るまで

 

万博閉幕後、太陽の塔の保存は決まったものの、太陽の塔の内部は長らくとざされて、一般の人の目に触れることはありませんでした。

それが2003年に日本万国博覧会記念機構が独立行政法人になったのを記念して、33年ぶりに限定公開されました。

万博が開催された1970年にちなんで、1970人が招待されたそうです。

その後も不定期に一般公開されていましたが、2007年に終了。

この期間の一般公開は消防法の関係から、一階部分のみの公開でした。

 

その後、耐震基準や消防法に適合する形に耐震・内部改修工事などが行われ、2018年3月から予約入館が開始されました。

今公開されている太陽の塔は、耐震化のため、当時より20センチ壁が厚くなっています。しかし、壁に設置されていた音響設備などはそのままに再現されていますし、工事に携わった方達の「再現する」ための努力に頭が下がる思いです。

また、1970年当時はエスカレーターで上部まで登っていました。消防法の関係で今は階段に代わっていますが、当時のことを思い起こすと(もちろん当時もエスカレーターはありましたけど)、太陽の塔の内部空間はまさに「近未来」だっただろう、と思います。

 

「芸術は呪術である」ー岡本太郎という人

 

岡本太郎といえば、「芸術は爆発だ!」というセリフで有名な人です。

岡本太郎という名前を知らなくても、「芸術は爆発だ!」というフレーズは、ほとんどの方が知っているでしょう。

岡本太郎(明治44年ー平成8年)は漫画家 岡本一平と歌人、小説家 岡本かの子の子供として生まれました。

この、両親ともにかなりの曲者。特に母親のかの子はかなり奔放な人だったようです。(瀬戸内寂聴著「かの子繚乱」講談社文庫 は面白かった。)

かの子繚乱【中古】

この親にしてこの子あり。

一平の絵の才能と、かの子の奔放な性格。両方を併せ持つと岡本太郎が出来上がるのも納得、というところです。

 

ネットで岡本太郎を検索すると、激しい筆致の油絵を背景にへんてこりんなポーズをしたおじさんの画像が出てきます。

岡本太郎といえば、奇抜なことばかりするちょっと頭のネジの飛んだ画家、というのが多くの日本人の認識だったのではないでしょうか。

「作品じゃなくて、岡本太郎が爆発してるやん!」

と、生意気盛りの小学生の頃、友達と話していたのを覚えています。

 

太陽の塔だって、当時の普通の日本人にとってみれば

「なんやあの鼻が曲がったようなへんちくりんな顔は!」

「子供の落書きでも、もう少しましやで」

と言ったような感想を持ったことでしょう。岡本太郎は最先端を行き過ぎていたのです。

 

しかし、自分が美術を志し、改めて岡本太郎の作品に触れてみると、その圧倒的な迫力に魂を揺さぶられるような印象を持ちます。

岡本太郎は、自分の魂を全て作品にぶつけきる、乗り移らせる、という思いで制作をしていたのでしょう。

自分の中の表現したい思いのエネルギーを、溜めて溜めて、こらえきれなくなった時にドカンと爆発させ、その爆発的なエネルギーを作品として昇華させる、という意味で「芸術は爆発だ」というフレーズなのかな、と思います。

 

「芸術は呪術である」も、私流に解釈すると…

本来、美術を含めた芸術は、人間の魂の叫びを表現するためであったり、人間の叡智を超えた存在を讃えるためであったり、許しを乞うために発展してきたものでした。(時代が下がると社会の支配者が庶民を教育するための学習ツールでもありました。)

美しいものを表現するだけのものではなく、人の感情の全て、怒り・喜び・悲しみ・楽しさ・嫉み・優しさ・恨みなどなど、あらゆる感情を表現してきました。

作品一つ一つに人や時代の感情が乗り移り、時代を超え、今に受け継がれてきている。

作品が感情を乗せて時間を超える。その作品は時に見る人を捉えて離さなくなります。

呪術の呪はのろう、という意味ですが、祈りという意味もあると思います。

芸術には呪いも祈りも込められている、人間のむき出しの感情がそこにある、それが「芸術は呪術である」の意味なのではないでしょうか。

 

以上は、あくまで私個人の勝手な解釈です。まあ、こんな考え方もあるということで、お許しください。

 

なんにせよ、岡本太郎は自分の感情を、飾ることなくむき出しのまま素直に表現しようとした芸術家であったと思います。

やっぱり、天才だわ…。

 

太陽の塔へのアクセス

 

詳しくは万博記念公園のサイトをご覧ください。

 

駐車場は?

車で出かけられる場合も、万博公園内に大型駐車場が数カ所ありますし、隣接するエキスポシティの立体駐車場を利用することも可能です。

公園内の駐車場だけで、3000台以上の駐車が可能ですので「駐車場がなくて困った!」ということはないでしょう。

 

駐車料金は、2018年8月現在

平日最大(4時間以上24時間以内)1000円、

土日最大(4時間以上24時間以内)1500円

となっています。

 

おまけ。

 

かな〜り期待して行きましたが、「ともだち」は太陽の塔の中にいませんでした。

太陽の塔、とくれば「20世紀少年」ということで。

 

おしまい。

 

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